アジャイル開発チームの中で多用される振り返り手法に、KPTという手法があります。数ある振り返り手法の中でも知名度があり、振り返りといえば真っ先に名前が挙がる手法です。
そんなKPTですが、どんなメリット・デメリットがあるのでしょうか?
本ブログでは、KPTの特徴に合わせて、KPTを実施する際におすすめのオンラインツール5選も合わせてご紹介します。ぜひ最後までご覧ください。
目次
KPTとは
KPTは振り返り手法の一つで、「Keep, Problem, Try」で構成されています。一定の期間の中で「良かったこと」「問題点」「次やること」を書き出すやり方です。
Keep
「Keep」は、チーム活動でうまくいっている点や、今後も継続すべきアクションを挙げていきます。この次の項目「Problem」がネガティブであることに対し、「Keep」はポジティブな要素に目を向けています。まず「Keep」の項目を充実させることで、チームのよい行いや成果を認識し合うことが大切です。
Problem
「Problem」は、悪かったことや、チームが改善を目指すべき課題です。この項目があることで、チーム内の課題を早期に発見できるメリットがあります。
Try
「Keep」と「Problem」を踏まえた上で考えられる新しいアクションや試みが「Try」です。Keepを更に良くしていくアイデアや、Problemの解決策を考えていきましょう。振り返りをその場で完結させず、次のサイクルにも活かしていく上で重要な項目になります。
KPTの効果
KPTは、シンプルで導入しやすいフレームワークで多くのチームの振り返りに活用されています。そんなKPTを実施することで得られる効果を紹介します。
チームの課題を早期発見できる
KPTを定期的に実施することで、チームの課題を早期に発見し、迅速に解決のためのアクションを起こすことができます。
KPTは、「Problem=課題」という直接的な表現の項目があることが特徴です。定期的に課題を洗い出すことで、チームのPDCAサイクルを最速化できます。
また、KPTを習慣化すると、自然と業務の課題についても意識するようになるため、メンバー個々の課題解決力も向上するでしょう。
リモートチームの円滑な意思疎通
リモートで働くチームの中で、KPTはチームメンバー間の認識共有やコミュニケーションの促進にも役立ちます。
オフィスにいるような気軽なコミュニケーションはリモート環境では難しい場合が多々あります。そんな時でも、毎週チームメンバーでKPTを行う時間を取り、振り返りを共有することで、メンバーの足並みを揃えることができます。
チームのモチベーションの向上
KPTでチームの成功体験や良い習慣を可視化することで、チームのモチベーションの向上に繋がります。働く上でのモチベーションを維持するには、定期的に達成感を感じる瞬間が必要です。KPTの習慣化はそんな場面にぴったりです。
「Keep」の項目で成果につながった行動や良い行いを可視化することで、達成感を感じることができます。また、「Try」で次にやるべきことが明確になる点も、継続的なチームのモチベーション維持につながるでしょう。
無料でも試せる!KPTを実践できるツール5選
KPTの概要や効果についてご説明してきましたが、どのツールを使ってKPTを行うかも重要な要素になってきます。
ホワイトボードや、タスク管理、ドキュメント、数値管理ツールなどさまざまなツールを応用することができますが、その中でもKPTをはじめとする振り返り手法に実践に適したツールを5選ご紹介します。
ツール名 | こんな人におすすめ | 特徴 | メリット | デメリット |
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postalk | ツール学習に時間をかけ ず簡単に振り返りを始めたい人 |
PC操作に慣れていない人でも 使いやすいシンプルな オンラインホワイトボード |
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Miro | ツールをがっつり使いこなしたい人 | 多機能性が魅力 ロシア発のオンラインホワイトボード |
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Trello | 振り返りとタスク管理まで 流れで行いたい人 |
カンバンボード形式の タスク管理ツール |
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Microsoft Whiteboard |
Microsoft Teamsを頻繁に使う人 | Microsoft運営で Teamsでの会議中に共有しやすい |
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EasyRetro | 振り返り内容をPDFなど 他フォーマットで保存したい人 |
振り返り専用ツールで KPT以外のテンプレート多数 |
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postalk
「postalk」はシンプルで誰でも使えるオンラインホワイトボードです。ホワイトボードツールでありながら、PC操作に慣れていない方でも使いやすいシンプルさを特徴としています。
参加者はログインしなくてもボードに書き込みができるため、チームでの振り返りにも導入が簡単です。
初回登録時にKPTを含む10個の振り返り手法のテンプレートもプレゼンしているので、複数の振り返り手法を試して自分に合うものを見極めることができます。
- メリット
- 初めて使う人も簡単に操作できる
- 参加者は登録なしでも書き込める
- デメリット
- テンプレートが限定的
ホワイトボードの「グラフィカルさ」と、カンバンツールの「使いやすさ」を両立するpostalkには、KPTをチームで習慣化するのにピッタリな特徴が3つあります。
「付箋を貼る」ことに特化したシンプルな使い心地
オンラインホワイトボードは、オンラインツールの中でも難易度が高く、振り返りをしたいだけなのに多機能すぎて使いこなせないというケースもよく耳にします。
postalkは、パソコン操作に慣れていない方でもすぐに使いこなせるようなシンプルな操作感が特徴です。多機能であることに拘らず「付箋を貼ること」に特化し、エンターキーを押すだけで付箋を作成できるので、「パパッと振り返りをやろう!」という場面に最適なんです。
ボードの複製機能でオリジナルのテンプレート化できる
振り返りに使われるツールの多くは、テンプレートを多数提供しています。しかし、項目が求めているものと微妙に違ったり、デザインに凝りすぎていたり、「これだ!」というテンプレートを探すのは意外と手間がかかります。
postalkでは、作成したボードをテンプレートとして保存し再利用することができます。
ボードの右下の「複製」を選択することで、オリジナルのテンプレートを作成できるので、シンプルでありながら自分のチームに合わせたKPTテンプレートを作成し、定期的に振り返りで活用することができます。
絵文字や投票機能で、楽しくKPTを実践できる
「postalk」の絵文字や投票機能を活用すると、振り返りが活発になり、チームのエンゲージメント向上が期待できます。postalkの付箋に絵文字を単体で入力するとスタンプになります。貼られた付箋にリアクションする形で、好きな絵文字をどんどん貼って盛り上げることができます。
また、付箋選択時にキーボードの「F」を押すと、付箋に投票することができます。メンバーが貼った付箋に投票して、「いいね!」の意を表すこともできます。
加えて、postalkの付箋に「Keep」「Problem」「Try」と入力すると、見出しスタンプが出現します。KPT実践の際には、ぜひお試しくださいね。
Miro
「Miro」はロシア発のオンラインホワイトボードツールで、その多機能性が魅力です。世界中のユーザーに活用されており、日本の大手企業にも導入されています。
テンプレートも豊富で、公式のテンプレート以外にもMiroユーザーが作成したテンプレートが公開されており、自分のニーズに合ったものを選ぶことができます。
加えて、リアルタイムでのチーム活動を徹底的に考慮しており、リアクション機能が付いていることも特徴です。リモートでの振り返りは発言のタイミングが難しいこともありますが、リアクション機能を使ってチームの雰囲気良く振り返りを進めることができます。
- メリット
- テンプレートが豊富
- リアルタイムのリアクション機能がある
- デメリット
- 多機能ゆえに難易度が高く、使いこなすまでに時間がかかる
Trello
「Trello」はカンバンボード形式のタスク管理ツールです。
カンバンボードにカードを追加していくことで、チームで振り返りを行うことができます。
タスク管理ツールなので、詳しい説明の追加やメンバーへのタスク割り当てなどができ、振り返りの結果を業務に移行する過程をスムーズにできます。
コメントや投票機能もあるので、チームでの振り返りに活用できます。
- メリット
- 振り返り結果をTODO化できる
- メンバー同士でコメント・投票を付けられる
- デメリット
- 自由度が低い
- カードにさまざまな情報を追加できる反面、複雑化しやすい
Microsoft Whiteboard
Microsoftが運営するホワイトボードツールです。基本的な操作はほかのホワイトボードツールと大差ありませんが、Teamsでの会議中にスムーズに共有できることが最大の強みです。
Teamsでのミーティング画面からホワイトボードを起動できるため、他ツールを画面共有するような煩わしさを削減できます。
- メリット
- Microsoft Teamsでの会議中に使いやすい
- デメリット
- Microsoftのツールを日常的に使う人だけに限定される
EasyRetro
「EasyRetro」は振り返りを行うために作られた海外のツールです。
KPT以外にも多くの振り返り手法のテンプレートが揃っています。いいねボタンやコメント機能、タイマーが無料で使えるため、気軽に効率的に振り返りを行うことができます。また、エクスポート機能が充実しており、振り返り結果をExcelやGoogle Docs、PDFで保存することができます。
- メリット
- リアクション・コメントができる
- 他フォーマットへのエクスポートが豊富
- デメリット
- サービスが英語・ポルトガル語のみで、日本語での説明表記がない
KPTがうまくいかない、思いつかない時の対処法
自分に合うツールを見つけて、いざKPTを始めようとしたけれど、書くことが思いつかなかったり、時間が経ってマンネリ化してきた・・・。
実は、こういったお悩みは「振り返りあるある」なんです。そんなあるあるに陥ってしまった時の対処法を3つご紹介します。
「Problem」に引っ張られすぎない
KPTの特性上、どうしても「Problem」に挙げられるネガティブなことに注目してしまいがちです。問題点ばかりに目を向けず、Keepにも等しく注目し、チームの成果やポジティブな行動も正しく評価することが大切です。
具体的には、まず「Keep」で良かったことをできるだけ多く挙げてから「Problem」を進めると、ネガティブな思考に陥ることを防げます。
ツールを変えてみる
振り返りを行う際に使えるオンラインツールは、数えきれないほど存在します。KPTがうまくいかない場合、メンバーがツールを使いこなせていなかったり、使いづらいと感じている可能性があります。自分のチームのメンバーをよく観察し、適したツールを見極めることが重要です。
例えば、立ち上げ初期のチームであれば、スタンプ機能などの盛り上げ機能が充実したツールの方がチームビルディングにも繋がります。逆に効率を最重要視するチームであれば、シンプルなデザインやタイマーの有無を確認すると良いでしょう。
別の振り返り手法を試してみる
振り返りがうまくいかない原因の一つに、「マンネリ化」が挙げられます。振り返り手法に慣れれば慣れるほど、新しい発見が生まれなくなることは避け難い事実です。状況に合わせて、普段とは違う振り返り手法も試してみると、こうしたマンネリ化を防ぐことができます。
振り返り手法10選をまとめた記事があるので、気になる方は是非チェックしてみてください。
postalkで簡単・たのしくKPTを実践!
この記事では、振り返り手法KPTの実践におすすめの5つのオンラインツールをご紹介しました。
その中でも、postalkはホワイトボードのグラフィカルさとタスク管理ツールの使いやすさを兼ね備えたツールです。本記事で解説しているKPTの詳細や注意事項も踏まえて、ぜひ一度KPTを実践してみてください。