思想

オフィスから、野外へ。


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postalk株式会社は今年の春に資金調達を実施しました。

プレスリリースを書かなきゃとはおもっていたのですが、なかなか内容がまとまらず、調達した金額だけでも書こうとは思ったのですが、それだけなら味気がないな・・・と悶々と考えているうちに、秋になってしまいました。

なぜ、いきなりの報告から始まったのかと言いますと、先日、弊社に投資をしてくださったベンチャーキャピタリストの方々とのミーティング中に言われたことが本題と深く関係するからです。

W氏「あらためて、これからの展望やpostalkとは何かみたいなことを示すべきかもですね、語られていないことが多いというか。しっかりと明文化する時間を作るべきじゃないですか?」

とのアドバイスをいただきました。

postalk株式会社は設立して、三年が経ちました。postalkのベータ版の公開が四年前、一社目のスタートアップを売却したのが五年前、平間さんとの出会いが十年前(!)。遡りだすとキリがないのですが、今月で三十歳の自分からすれば、人生の1/3を占めています。

そもそもここ数ヶ月を振り返ってみると、ふたりで今後の話とかサービスの未来、これからのコミュニケーションはこうなるんじゃないか…みたいな漠然とした話をしたのはいつだったろうか。それすらも思い出せない。弊社のミッションに関する文章も二年前ぐらいで止まっているような…たしかに問題だ、どうすれば…

そうだ京都、行こう。

目次

はじめての経営合宿

とういうことで、はじめて経営合宿を行うことにしました。オフィスがあるんだから、一日引き篭もればいいじゃないかとも考えましたが、私たちの性格をふまえると、二、三時間ぐらいが限界だなと察しました。

実際に移動をしながら気づいたことですが、一緒に空間を共にするだけで色々な話をします。今回のような自分たちの根底に関わるような話や今後どうして行きたいのか?という大きくて曖昧な話がしたいならば、どのような空間で語り合うのかはこだわるべきでしょう。

合宿の内容ですが、13時に福岡空港に集まり、関西空港。そして、国立民族博物館へ向かい、京都美術センターへ。二日目は予定を組まずに話し合おうという、計画を立てました。このときにもpostalkを使ったのですが、とても便利でした。

関西圏に詳しい方は気付いたかとおもうが、使うべきは関空ではなく、伊丹空港にするべきだった。

なぜ国立民族博物館と京都なのかといえば、川喜田二郎と梅棹忠夫の足跡を少しでも辿れないかと考えたからです。KJ法がなければ、postalkも今みたいなサービスになっていないですし、知的生産の技術をあらためてソフトウェアに取り入れてきたいのであれば、実際に訪れるべき場所でしょう。ということで、聖地巡礼が裏テーマです。

はじめての万博記念公園

国立民族博物館へ。とにかく広い!みんなが半日はかかると言っていた意味がよくわかりました。

念願のネパール。川喜田二郎隊長の文字がありました。

postalkはどこかゲームっぽい。誰かが書いたカードをべつの人が並べ替えたり、新しいカードをどんどん置いたりする。そして、それも並べ替えられていく。遊びは人間の原初的な欲求ですから、もっとpostalkで遊んでもらいたい。仕事が退屈なのって、何かいやだよね、とふたりで話しました。

そして、外をでると太陽の塔。大きいとは聞いていたが、本当に大きい!ずっと見ていても飽きません。やはり、映像でみるのと実物では全く違いますね。これを見れただけでも大満足でした。

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場所の関係上、背中から。

そして、京都美術センターへ。現在、KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭 2021 AUTUMNという企画が行われており、ホー・ツーニェンの「ヴォイス・オブ・ヴォイド—虚無の声」を観にいきました。こちらの施設はFukuoka Growth Nextとおなじく、小学校をリノベーションした施設であり、ツーニェンの作品とバッチリ雰囲気があっていました。

語りや映像が重なり合うこの作品とpostalkにおける二層構造だったり、平間さんといろいろな角度から語り合えたのは思わぬ収穫でした。

VR作品も展示されているのですが、これが非常によかった。派手な演出があるわけではないのですが、シンプルな方法でこのような没入感を演出できるのかと感激しました。表現とは奥深い。

また、この施設には茶室があるのですが、そこでの演出は喜楽亭での展示をおもわせるものでした。YCAMを観に行った方にもあらためておすすめできる内容でした。

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二日目

ホテル近くのカフェへ。何冊か今後を考えるうえで大切な本を持ってきていました。もっと時間があるのであれば、知的生産者たちの現場を参考に京都を巡ってみたかったのですが、それは来年にとっておきましょう。素敵なお店でした。

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その後、お昼ごはんを食べて、この数日考えたことをpostalk上にまとめていきました。初日にとにかくたくさん話をしたので、それを振り返る。話し合いたい話題を列挙する。今までモヤがかかっていたものを丁寧に形にしていく作業を繰り返して行きました。

付き合いが長いと照れくさかったり、ふたりの間では当たり前のことが増えていく。それも私たちだけの会社ならばそれでいいのかもしれませんが、もう、みんなの会社なのです。弊社のことが気になってくれる人たちのためにも、大切な作業です。

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途中、新しい機能を思いついたとき。こういう瞬間も楽しい。

オフィスから、野外へ。

まとめます。
弊社はリモートワーク制度を採用しており、直接話す機会が少なく、二日間とはいえ、一緒にいるということが珍しい体験でした。もちろん、毎日のようにやりとりはしているし、テレビ通話も行う。しかし、空間は共有していない。

もちろん、空間を常に共有することが大事なのではありません。考える時間やひとりで手を動かす時間がないことも問題です。川喜田二郎が提唱した野外科学は書斎と実験室を否定するものではなく、合わせて考えるべきだと書かれています。ここ最近の私たちはずーっとこの野外というものを軽視していたのではないかと気付かされました。

postalkを一言で説明するときは、「カードを張り合い、並べ替えるものなんです」と伝えてきました。それはツールの説明としては充分ですが、私たちはもっと仕事を楽しくしていきたい。そうであるならば、postalkはカードを張り合う「場所」を提供しているのだと自覚を持つべきです。

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写真が上手なんだな〜と現像されたものを見ておもいました。知らないことばかりですね。

ひとと腹を割って話すことの難しさは、この十年間でよくわかりました。真摯にお互いを向き合うことや、一緒に学ぶ時間、こうやって旅ができるのもあと数回しかありませんが、これからも一緒にお願いしますね、平間さん!